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学生記者の感想

▼担当学生記者
関口よう子(22歳:取材時)

▼取材日
2003/6/3(火)

▼取材時間
10:30~12:00

▼取材地
ユニバーサルデザイン総合研究所

▼取材の雰囲気
赤池さんが手がけた数々の製品や出版された本などが並べられたユニバーサルデザイン総合研究所にて取材をさせて頂きました。取材中、ホワイトボードなども使い、わかりやすく説明して下さいました。実際に作られた製品を目の当たりにし、その仕組みや可能性のすごさに圧倒されました!

新しい価値をつくっていく
担当学生記者: 関口よう子(22歳:取材時)

まさにこの言葉は、赤池さんの取材そのものでした。

赤池さんは現在、ユニバーサルデザインというものを捕らえ、『モノづくり』というものに携わっています。その『モノづくり』というものも、『モノ』を作っているのではなく、『新しい価値を生み出しているのだ』とおしゃていました。これは、私の捉えていたユニバーサルデザインというものを遥かに超え、大きな可能性と価値をもった考えでした。

一般にユニバーサルデザインというのは、障害者、高齢者対応といったバリアフリーの視点ではなく、「誰にとっても使いやすいものは、誰にとってもいいものだ」という視点でのデザインのことであります。私自身もそのように捉え、ハードな部分、工学的な部分に注目し、そこから使用者が得られるソフトな部分への影響という効果を考えていました。しかし、それは、ユニバーサルといいながらも、実は一面的な部分であったことを感じたのです。

赤池さんは、その使用者という視点だけでなく、『モノづくり』にあらゆる人々を巻き込んで、生み出していくそのファシリテーターの部分に仕事の楽しさや喜びを見出している方でした。それがまさに、ユニバーサルリレーションというものです。そして、その根底にあるのは、大学で専攻していた生物学の学びや、還元していく、子孫へ繋ぐという想いがあるように感じました。

私は、今回の取材で、本当に今まで出会ったことのなかった新しい発想や、価値や可能性を目の当たりにしました。そして、一つの自分の軸となるものを通して、社会と積極的に関わっていく、むしろその社会のシステムを変えていくという姿勢が本当に印象的でした。

好きなことをしているから仕事がつらいと感じたことはない。
同行学生記者: 加藤万里子(20歳:取材時)

私はキャリナビメンバーとして1ヶ月活動した中で、好きなことを仕事にすることの素晴らしさを知りました。私の中で、好きなことを仕事にするのは、例えばスポーツの記事を書きたいから記者になるとか、子供が好きだから保母さんになるというように、1つの職種に絞ることだと思っていました。

「モノづくり」を軸にして様々な活動をされている赤池さんに出会ったことで私は、1つの職種に絞り込む必要はないと思いました。今は「スポーツ」に軸を置いて、幅広い視点から自分のやりたいことを見つけていきたいと思います。

まずは形にすること。そこから全てがはじまる。
同行学生記者: 深野竜矢(22歳:取材時)

今、シックハウスという問題が大変増えてきています。そして、その原因の一つには、畳に使用されているホルムアルデヒドなどの化学物質が挙げられます。赤池さんは、ご自身のお子さんが畳のせいで、アトピー・喘息などを患った経験をもとに、この問題を一挙に、かつとても鮮やかな切り口で解決する方法を見出され、それを実際に「形」にするところまで持っていかれました。それが、「ヒノキの畳」で、そのメリットは以下の通りです。

[1]ヒノキの木は元々防虫・防カビなどの効能を持っているため、余計な化学物質を加える必要はなく、ユーザーにとっては、シックハウス問題の根本的な解決というメリットがある。[2]原料はヒノキの廃材なので、林業を営む人にとっては本来コストのかかるゴミだったものが、有価なものへと生まれ変わるというメリットがある。[3]商品として低コスト、高機能を実現しているため、住宅メーカーにとっても多大なメリットがある。

この三点からわかるのは、一つの「モノを作る」という行為において、誰の視点もおろそかにされることなくしっかりと扱われ、関わる人すべてが恩恵を受けるような仕組みが生まれているということです。もちろん、この畳は赤池さんが今まで携わった多くの仕事のなかのたった一部分でしかありません。しかし、僕はこの畳の中に、赤池さんのユニバーサル・デザインというものに対する考え方が集約されているように感じました。

この取材に行く前まで僕は、ユニバーサル・デザインというものを「すべての人にとって優しいデザイン」であると単純にとらえていました。例えば、テレフォンカードにはINの方向がわかるように小さな切れ込みが入っているけれど、これはなにも目が不自由な方のためだけではなく、ポケットに手をいれてカードを取ろうとする人が、触っただけで どっちの方向がINなのかわかるようにする、つまり、テレフォンカードを使う全ての人に役に立つよう配慮されたものであるから、こういうものをユニバーサル・デザインと呼ぶのだ、という認識です。この認識自体、間違ってはいないと思うのですが、赤池さんが考えていらっしゃるのは、もっと規模の大きなものでした。僕の考えていた「使う人が幸せ」に加えて、「作った人も幸せ」、「協力した人も幸せ」であり、最終的には「関わった人全てが幸せ」まで、至るのです。今までにも、多分どこかでこういう概念を耳にしたことはあったと思います。しかし、そのときは、「関わった人全てが幸せになるなんて、そんな都合のいい話があるのだろうか?」と軽く受け流し、特に気にとめるようなことはしませんでした。ところが、今日、概念であったはずのものが、畳という現実の形となって目の前に現れたのです。目の前で形になっているものには、有無を言わさぬ迫力があります。形になったこと自体が、その裏にある数々の努力を雄弁に物語り、見るものに強く訴えかけてくるのです。

ヒノキの畳は、「こんな風に、関わった人すべてが幸せになれるような仕組みは世の中にまだまだあるのではないだろうか」という希望、「シックハウスの問題はいつか解決できるのではないだろうか」という希望、そしてなによりも「モノづくりをすることの素晴らしさ」を、千の言葉よりも説得力を持って教えてくれます。まさに、「モノを作ることによってすべてがはじまる」のです。きっと、今日の取材がなければどれだけ本を読んでも、どれだけ人の話を聞いても、そう簡単には実感できなかったことだと思います。それだけ、「モノ」のもつ力は偉大なのだと、改めて身にしみて感じることが出来ました。

最後に、この言葉を自分自身のために置き換えて考えてみます。今僕は、税理士という資格を目指しているのですが、世間一般では大型資格と呼ばれ、その難易度から、ともすれば取得すること自体が目的になりがちです。しかし、ここで改めて自分にこう言い聞かせたいと思います。「まずは税理士になること。そこから全てがはじまる。」「まずは」という言葉を使うのは傲慢に映るかもしれません。しかし、ここはあえて「まずは」と言うべきだと思います。資格は目的ではなく、あくまで手段であり、その先に広がる様々な「モノ作り」の可能性にこそ目を向け、その中に希望を見出すべきだと感じるからです。目の前にある階段を一つ一つしっかりと登っていけば、いつかは赤池さんの提案するユニバーサル・デザインの中の一部分として自分も参加することができるかもしれない。そうなるためにも、今はまず自分の足元を見て、できることからしっかりやっていこうと思います。

working together
同行学生記者: 竹之下美紀(23歳:取材時)

赤池さんは「ものづくり」を通じて、社会に新しい提言をすること(新しい価値観を創造して、発信すること)をお仕事になさっているといえます。赤池さんの目指すものづくりの方向性(手段ともいえるかな)がユニバーサルデザインではないかと思います。

身体的ハンディキャップがある人に限らず、あらゆる人に使いやすい・すみやすい、ものづくり・まちづくり・個別の志向に対応する・自然の素材・材料を生かす・出来上がる過程において、あらゆる人がかかわる社会参画のデザイン(いのち、すこやかさを育む社会)※例として赤池さんは畳に天然のヒノキを敷いた建築資材を見せてくださいましたが、これはシックハウス対策として考え出され、生物学者の方が商品開発にかかわっているそうです。

赤池さんの考えるユニバーサルデザインを私は上のように理解しています。特に、ものづくりの過程において、あらゆるバックグラウンド・専門・知識をもつ人をつなぎ、一緒に働くことによって、さまざまな知恵を出し合いながら、ものをつくっていることと、つくったものを通じて社会に新しい価値観を提言している点が強く印象に残っています。

私は以前、立田さん取材報告で、「若者が希望をもって世の中へ出てもらいたい、という思いを仕事を通じて伝えたい」というようなことを言いました。大学院を出たら自分は「勤め人」という生き方を選ぶと思いますが、さまざまな分野のエキスパートのネットワークをつくり、提言をするという生き方を、自分の将来の職業生活に取り入れてみたいと思いました。

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