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記者(以下、記): 体育の家庭教師なんて聞いた事がなかったのですが、具体的にどのようなお仕事をしていらっしゃるのでしょうか。
水口さん: 学校の体育で苦手とする種目をその子のレベルに合わせて主に1対1で指導しています。苦手な競技をそのままで終わらせないで、1歩でも2歩でも先に進めるように、弱点を克服するような指導を行っています。具体的な競技では、鉄棒の逆上がり、ボール投げ、なわとび、水泳、走ることなど、また遊び相手としてお姉さんやお兄さん感覚で子どもに接している事もあります。このように説明してしまうと体育の指導だけをしているように思われてしまうかもしれませんが、実際は技術的な事を指導するというよりも子ども達の人間性、成長の手助けをしています。 記: 体育の技術などを教えることが、どうして子どもの成長と関係しているのでしょうか。 水口さん: まず基本的なことだと思うのですが、身体を動かすと脳も働いて、色んな思考力がつく。例えば、ある競技を習得する過程を通して子どもに自信がつき、また精神的にも色んなことを自分で学び、身につけ自分で考えるというような発達段階には必要不可欠な場であると感じています。
記: 今、教えていらっしゃるのは普通の小学生ですか。 水口さん: 比較的私立の学校に通っていらっしゃるお子さんが多いです。私立校は文武両道を掲げて勉強、運動ともにバランスよくというこどもに対する親御さんの強い思いがあります。 記: 勉強も運動も両方しっかりやらなければならないのは、子どもにとってプレッシャーにならないのですか。 水口さん: 確かに、指導中に子ども達と話をしていく中で、親御さんの子どもに対する期待の大きさが子どもにとってプレッシャーとなっている事もあります。そのプレッシャーが、ストレスとなって子どもに蓄積されていることも感じます。親御さんの子どもにより良い環境をつくってやりたいという思いと、子どもは子どもで自由にやりたいという思いの中間に体育の家庭教師は立っています。以前だったら、体育までに家庭教師をつけるなんてとんでもないという考えも多かったと思います。 本当に体育の家庭教師が必要なのか、私自身も正直複雑な部分があります。それでも体育の家庭教師をやろうとしたのは、ある競技を習得することを通して将来子どもが生きてく上で大切な部分があると思うからです。 表向きは体育の家庭教師ですが、教える時は目の前にある課題をクリアにするために頑張ろうという気持ちを持ってもらえるように指導します。でも私はひとつの競技が出来るようになることだけを見ているのではありません。指導している子どもたちが大人になった時、自らの子どもにもがんばるということを愛情をもって「教えて」欲しいという願いがあります。子どもに愛情を持って接するためには、自分がたくさんの愛情を受けなければ出来ないと思うのです。今はわからなくても良いのですが、逆上がりが出来なかった時にお兄さんやお姉さんがやさしく指導してくれたなぁと思い出して欲しいのです。現在、以前教えていた子どもたちが高校生になっています。一人の高校生が「夏休みに仕事を手伝わせてもらえませんか?」とやって来ました。私たちが教えた子どもたちが中学、高校、大学生と成長していく中で一度戻ってきて、体育の家庭教師として子ども達に接する。そういうサイクルが出来れば一番いいなと思っています。 |