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学生記者の感想

▼担当学生記者
塩島由依子(22歳:取材時)

▼取材日
2004/7/23(金)

▼取材時間
13:00~17:30

▼取材地
林さんのご自宅@加賀

▼取材の雰囲気
取材させていただいたお部屋は、木の格子に凝った細工がしてある広い和室でした。林さんは隣の部屋に能管の資料を用意しており、「わかるか?」と何度も確認しながら丁寧に説明してくださりました。奥さんは夕飯の支度の合間をぬって隣の部屋の資料を持ってきて、笑顔で取材を見守っていてくれました。とてもなごやかな雰囲気でしたが、林さんが能管を演奏し始めると清澄な空気が漂っていました。

一本でも多く残したい
担当学生記者: 塩島由依子(22歳:取材時)

限りある命のなかで、一本でも多く能管を作りたいという言葉です。「この能管が全部出来上がるのが先か、それとも、自分が逝くのが先か」ともおっしゃっていて、とても切なくなりました。でもただ切ないだけでなく、私には命をかけて能管を作っているように思え、とても格好よくも感じました。

林さんが独学で築きあげた能管の製作方法はあとを継ぐ人がいません。だからこそ林さんの一本でも残したいという想いはとても強いものになっているように思います。そして林さんが笛方(演奏者)であったからこそ、本当に音色のよい笛を作っている自分に使命感のようなものがあるのだと感じました。

笛方として笛への思いが強いから、製作中の見た目だけでははく、 音色も伴わせなければならないという辛さも乗り越えられるのだと思います。好きなことを仕事にしようと強く思いなおした取材でした。

一本でも多くの笛を残したい
同行学生記者: 佐藤良枝(20歳:取材時)

まず、私は林さんがすごく大好きになってしまいました。何で?と言われると、理由はいまいち言葉にならないのですが、取材中は、見ているだけで笑顔になってしまうかんじでした。そして、お年を召された方のお言葉は、一言一言がずっしりと重く、心にびしびし響いてきました。今聞いていることが、林さんが今までの何十年間を生きてきた中で、築いてきた生き方なんだと思うと、心の奥から感動が湧き上がりました。そして、これまでの人生ずっと笛作りを続けてこられたという、 人間としての強い強い芯のようなものを感じ、圧倒されました。でも、林さんご自身は、自分のことを何もえばらないし、自慢もしません。ものすごく謙虚な方なんです。だけど、言葉として表現しなくても、その雰囲気やオーラから、自然と人生の重みが伝わってくるようでした。

取材中、林さんは何度もこういった言葉を口にされていました。「もう自分は長くはないから・・・」自分の死が身近に迫っていることを、直感的に感じてらっしゃるのでしょうか?私はこの言葉を聞くたびに、取材中、涙がポロポロ溢れてきました。今でも、思い出すと、涙ぐんでしまいます。私は、今まで、身近な人の死を経験したことがありません。また、現在健在の祖母とは、昔から遠く離れた場所に住んでいるため、あまり密接な付き合いはなく、果たして祖母の死が訪れたときに 私は悲しむのだろうか?という疑問があります。だけど、私は林さんに対してなら、泣くだろうなと思いました。今まで、人の死を実感したことがない私にとって、誰かに対して「長生きしてほしい」とこんなに強く思ったのは初めてでした。

林さんは、ご自身の生きる道として、笛作りを選ばれて、それを人生最後までまっとうされるんだと思います。まさに、一人の人間の生涯を賭けた、「生き様」というものを林さんの取材からは感じました。 そこまで賭けるものがあるというのは、もはや、一人の人間の生に対して与えられた「使命」として、笛作りがあるように感じました。林さんの生きた証として、あの能管が後世にまで残るのです。一人の人間の生は何十年と限りがあるけど、林さんの作った能管は、その後何百年と残っていくのかもしれない。林さんがされていることは、なんて偉大なんだろう、人間の可能性は、生を超えて広がっていくんだな、と感じました。小さな頃から学校や本などから教えられてきた「生きる意味」というものを、今回、初めて実際の生き様から学ばせていただいた気がしています。本当に、林さんに出会えてよかったです。どうか長生きしてください。

一本でも多く残したい
同行学生記者: 花澤小百合(22歳:取材時)

今回、私がいいなと思ったのは、林さん夫婦がお互い好き合っていたことです。ご自宅はきちんと整頓されていて、奥さんの手芸品が素敵に飾られており、林さんはそれを嬉しそうにお話していて、私もとても嬉しくなりました。取材中、林さんは何度も奥さんを呼ばれていて、それがこの夫婦の愛のかたちなんだなあと思いました。

林さんは小さいときから体が弱く、現在もご病気をしているそうです。それで、「辛い」とか、「自分が逝くのが先か、出来上がるのが先か」とおっしゃっていて、私はなんだか居たたまれなくなりました。 「そんな悲しいこと言わないで」と強く思いました。 そのようなことについて、私は「やめて。聞きたくない。」という拒否反応のようなものがあります。でも、人はいつか亡くなるんだなあと最近思います。いかに悔いがなく生きるか。生ききるか。林さんを応援したいです。私も楽しく幸せに生きられるようにがんばろうと思いました。

謙虚と責任
同行学生記者: 山崎知子(21歳:取材時)

職人さんは自分のお仕事に誇りを持っているとよく聞きますが、林さんにお会いして本当だなぁと思いました。色いろんな資料や道具をこれもある、これもある、と見せてくださったり、お仕事のことを語るときの目はお仕事に誇りお持っていらっしゃるんだなと直感的に感じました。

「今まで作った能管で納得して出されたものはありますか?」という質問に「ない。笛のよし、あしは自分が決めるのではなく、吹いてくれる人だ」とはっきりと答えられました。能管技術においてはその道のプ ロであるはずの林さんはそうきっぱりとおっしゃったところに謙虚さを感じました。また、「仕事をやめたいと思ったことはあるか」という質問には「あるけれど、責任がある」とおっしゃっていました。私たちは責任と安易に発するけれど、それにはない言葉の重みを感じました。謙虚と責任、まったく相反する言葉ですが、実は表裏一体なのかな、と感じました。

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