ファクタリングの種類




2021年現在、ファクタリングには法律の規定(手形法や出資法など)がありません。
そのため金融機関によってファクタリングサービスの名称(債権買取・買取ファクタリング・一括ファクタリングなど)が異なり、混乱した経験を持つ方も多いのではないでしょうか。
ファクタリングには、主に資金調達で利用される「買取型」と入金を保証するための「保証型」が存在しており、用途・利用するシーンも大きく異なります。
当ページではファクタリングの種類にフォーカスを当て、サービスの概要やマッチする業種や利用シーン等をご紹介いたします。
買取型のファクタリングサービス
売掛金や未収金の売買のことを「買取型」と呼びます。
また、買取型には「買取ファクタリング」「一括ファクタリング」「医療ファクタリング」といったように債権の種類・取引の内容によっても呼び方が異なります。
それでは、一つずつ確認してまいりましょう。
買取ファクタリング
所謂ファクタリングと呼ばれる取引の90%以上がこちらの取引にあたります。
売掛金や未収金等の「売上債権」をファクタリング会社へ売却し、買取金を受け取ることで早期の現金化を図るという金融取引です。
債権を売買するため、取引スキームは「手形割引」と酷似しておりますが、取引先が倒産しても利用企業側は責任を負わないなど、ファクタリング独自のメリットもあります。
医療ファクタリング
医療ファクタリングは買取ファクタリングの一種であり、文字通り医療債権(診療報酬債権や介護報酬債権など)を利用する取引の総称です。
日本は国民皆保険制度を採用しているため、医療費の一部は国や地方公共団体、組合等が賄っています。(これを「保険負担分」といいます)
つまり、各医療機関や介護施設は支払機関に関して一定の請求権を有していることになり、当該請求権を活用したファクタリングこそが「医療ファクタリング」です。

買取の手続きがやや特殊であるため、民間ファクタリング会社では取引を断られてしまうケースがありますので、ご利用の際は医療ファクタリング専門の業者に相談すると良いでしょう。
一括ファクタリング
一括ファクタリングは、一般的には「電子債権を現金化すること」を指します。
電子債権は「でんさい」で管理されており、現金に換える・支払いに充てる(従来の支払手形と同様の利用方法)等が可能です。
一括ファクタリングを利用する場合、金融機関・債権者・債務者(取引先)の3社が予め契約を締結しておく必要があり、現金に換える際は改めて承諾を得なければなりません。
スムーズな現金化が図れますが、そもそもでんさい契約が必要・取引先もでんさいを利用していなければならない等の制約がある点に注意が必要です。
保証型のファクタリングサービス
保証型とは、文字通り売上や入金を保証するためのファクタリングサービスです。
保証型の代表例として「保証ファクタリング」「貿易ファクタリング」が挙げられます。
保証ファクタリング
保証ファクタリングとは、万が一売掛先が倒産してしまった場合に、銀行などの金融機関やクレジット会社が貸倒金を保証するサービスのことです。

保証契約は債務者と保証人の間で締結されるのが通常ですが、保証ファクタリングの場合は保証人と債権者の間で締結(保証取引基本契約など)されます。
ファクタリングを利用する企業(債権者)はファクタリング会社に対して保証手数料を支払い、ファクタリング会社は当該売掛金の債務不履行を保証する形です。
自社の与信範囲を超えてビジネス展開したい時や、反復継続して保証をつけておく(根保証)といった利用方法が期待できます。
国際ファクタリング

輸出先の民間ファクタリング会社と予め提携を結んでおき、信用事故のカバーや安全な代金回収を図ることを「国際ファクタリング」と呼びます。
海外への輸出では、紛争や海難事故などによって商品が到達しない・輸入元が支払いをしてくれないなど、予期せぬトラブルが起こる可能性があります。
国際ファクタリングは貿易業を営む上では欠かせない存在であり、正に「国際物流を支える縁の下の力持ち」といっても過言ではありません。
ただし、審査に時間がかかる(輸出元・輸入元の信用調査が必要)、比較的大口な取引でないと利用できない等のデメリットもあり、中小企業にとってはハードルが高い取引と言えます。
資金調達なら買取ファクタリング
ファクタリングには様々な種類が存在しておりますが、資金調達目的であれば「買取ファクタリング」を選ぶと良いでしょう。
なお、民間ファクタリング会社が取り扱うサービスのほとんどが買取ファクタリングですが、専門分野を設けているケース(クリニックや介護施設のみが対象など)もありますので注意が必要です。
保証目的でのファクタリングであれば、銀行やクレジット会社等の大手金融機関が独自のサービスを提供している可能性がありますので、公式HPをチェックする・担当者に相談する等で対応してみてください。

2シーンに応じて上手に使い分け、ベストマッチするファクタリングサービスを選ぶようにしましょう。