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給料ファクタリングの危険性

給料ファクタリングに対する注意喚起

給料ファクタリング(又は給与ファクタリング)とは、文字通り事業主に対して有する賃金債権を利用したファクタリングのことです。
本ページでは、給料ファクタリングの仕組みや需要が高い理由、違法性や危険性について解説いたします。

給料債権とは

債権とは「債権者が債務者に対し、一定の給付を要求できる権利」のことで、給料とは労働者が対価として受け取る金銭のことです。

つまり給料債権(給与債権・賃金債権)は、労働者が雇用者に対して有する債権であり、債権者=従業員・債務者=勤め先の会社という構図になります。
そして、会社から給与を受け取る金銭(給料)を支給日前にファクタリング会社が買い取るサービスが「給料ファクタリング」です。

なお、給料債権は通常は差押え等で用いられる用語で、差押えとは税金や年金の滞納、慰謝料など裁判で支払いが命じられた費用の支払い拒否があった場合に給料債権から強制的に回収を図る法的手続のことをいいます。

給料ファクタリングの登場

電卓と給料

ファクタリングは、原則として「BtoB取引」で発生した債権を期日前に現金化することでキャッシュを得るという資金調達方法です。
そのため必然的に法人または個人事業主が利用対象だったのですが、一部のファクタリング会社が個人をターゲットにした給料ファクタリングをスタートさせたことで状況が一変します。

信用情報が芳しくない方(所謂ブラック)は通常の借入を利用することができないため、給料ファクタリングは多く利用されるようになったのです。

なお、給料ファクタリングは基本的に「2社間ファクタリング」と同様のスキームとなっており、事業者に対して通知がされないという点も同サービスがヒットした理由の1つではないでしょうか。

手数料相場は

ファクタリングは2社間で5~15%・3社間で1~10%が手数料相場と言われています。
給料ファクタリングでは20%前後が相場(金額が20~30万円の場合)となっており、通常のファクタリングに比べると割高です。

給料ファクタリングは2社間方式と同様に雇用者ではなく利用者から引渡しを受ける形ですので、ファクタリング会社は一定のリスクを負っています。
債権は回収の見込みは高いものの、利用者の債務不履行リスク(引渡しをせずに音信不通になるなど)があるため、通常のファクタリングよりも高く設定されていると考えます。

元ファクタリング会社役員イメージ

仮に30万円の給料を手数料20%でファクタリングした場合、何と6万円もの手数料を業者に支払わなければなりません。
これは金利(1か月の場合)に当てはめると「6万円÷30日=1日当たり2,000円」「2,000×365日=年間73万円」「金利73万円÷元金24万円=約3.04(304%)」となり、貸金業法・出資法の上限金利を遥かに超える年利です。

給与ファクタリングに関する判例等

もちろん、このような事態を行政・司法が黙って見ているはずがありません。

まず、金融庁が先んじて「給料ファクタリングに関する見解」を発表します。
厳密には「ファクタリング協会の照会に対する回答」という形ですが、給料債権の譲渡の可否や貸金業登録の必要性についての解釈が述べられています。

給料ファクタリングに対する金融庁の見解

金融庁「ファクタリングに関する注意喚起」より抜粋

つまり

(1)給料は直接支払いが原則のため、ファクタリング会社は雇用者に対して請求することは許されず、債権譲渡そのものが成立しない
(2)手形割引と同様の法的効果であるため、貸金業登録が必要

という見解を示しています。

判例でも「貸金業に当たる」と判断

2020年3月24日に行われた訴訟において、東京地方裁判所は「貸付に当たる」「貸金業に定める年利上限を大きく超えるため無効な取引」との判断を示しました。
つまり、給料ファクタリングを業として営む場合は「(1)貸金業登録が必要」「(2)貸金業で定める年利上限内でなければならない」ということになります。

反対解釈すれば「要件さえ満たせば給料ファクタリングは適法」ということになりますが、金融庁の見解である「給料は譲渡できない」という点を鑑みると、いずれにせよ違法性を帯びそうです。
したがって、現在給料ファクタリングを提供している業者は全滅と言っても差し支えないでしょう。

ブラックで他金融機関からの借入が不可・詐欺目的(所謂トバシ)などを利用に今もなお一定の需要がありますが、いずれにせよビジネス利用にはマッチしません。
もし利用を検討されている方がおりましたら、絶対に利用は避けるようにしてください。

元アドバイザーイメージ画像

2022年現在、貸金業登録をしている給料ファクタリング会社は確認できませんので、給料ファクタリングサービスを提供している業者は現時点では全て違法業者に当たると考えて良いでしょう。