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将来債権を活用したファクタリング

昨今では「将来債権」の買取にも対応するファクタリング会社が増えてまいりました。
どのような債権なのか、ファクタリングにどのように活用するべきなのか、用語の意味や利用方法、仕組み等について解説してまいります。

元アドバイザーイメージ画像

将来債権とは、その名の通り「将来発生する蓋然性のある債権(売掛金)」のことです。
長期にわたり定型的な取引がある場合、安定かつ継続して売上が発生する見込みが高いため、条件を満たせば譲渡することが可能です。(売掛金担保融資や債権譲渡契約などでは一般的に扱われています)
従来、ファクタリングにおいては原則買取不可とされる債権でしたが、当該債権を利用するスキームが多く見られるようになりました。

従来のファクタリングとの違いとメリット

将来債権を利用したファクタリングは従来の取引とどのように異なるのでしょうか。
売掛金300万円があったと仮定し、実際に従来ファクタリングとの違いを比較してみましょう。

従来ファクタリングの入出金フロー

従来のファクタリング(2社間の場合)は、300万円の売掛債権を早期に現金化し、売掛金が入金されたらファクタリング会社へ支払うという仕組みです。

即日から数日で資金調達が可能ですが、翌月にはファクタリング会社へ300万円の一括支払いが必要となり、キャッシュフローが再度ピンチに陥ってしまう恐れがあります。
結局、翌月以降もファクタリングを利用してしまい、反復継続して利用せざるを得なくなってしまうという経営者も少なくありません。

将来債権ファクタリングの入出金フロー

一方で、将来債権ファクタリングでは既に発生済の債権300万円からは100万円だけを買取り、残り200万円は将来発生予定の売掛金(将来債権)から買取る形を採ります。(2か月後売上から100万円、3ヶ月後売上から100万円を買取)
同じ300万円の資金調達ですが、将来債権からの買取であるため、ファクタリング会社への支払も債権が履行されたタイミングと同一です。

つまり、1か月後・2か月後・3か月後に100万円ずつ分割して支払う形となり、キャッシュフローの負担減へと繋がります。

将来債権ファクタリングの利用例

将来債権として認められるには継続的かつ安定的で数年単位で入金実績があるなどの厳しい要件を満たさなくてはなりませんが、活用できれば財務改善の大きなバックボーンとなります。

将来債権を活用したファクタリングの具体例を見てまいりましょう。

人材派遣業の利用例

打ち合わせをする人材派遣会社のスタッフ

10人で人材派遣業を営むA社は取引先B社と数年の付き合いがあり、毎月継続的な入金がありました。
人材派遣料として固定売上があることも評価につながり、当月50万円、翌月・翌々月の将来債権で各50万円の合計150万円を調達しました。

元々利益率は悪くない業種ですが、翌月にまるまる150万円の支払いが来ると間違いなく負のループに陥ってしまいます。
将来債権利用により、支払いが分割になったことで翌月以降の負担が限定的となり、ファクタリング費用を大きく抑えることに成功しました。

つなぎ融資代わりの利用例

銀行の看板

運送業を営むC社は車両入替のため、3,000万円規模の銀行融資を進めていましたが、その矢先で従業員一同からの残業代請求を受け約500万円の支払いが必要に…。
ノンバンクからの借り入れも考えましたが、銀行融資を控えた今、安易な借り入れは避けたいところ。

そこで、融資が実行されるまでの1~2か月間を耐えしのぐために、ファクタリングを利用することに決めました。
1,500万円/月の売上がありますが、利益で残るのは100万円程度です。

そこで、直近の売掛金から100万円、翌月の売掛見込み(将来債権)から100万円の計200万円をファクタリングしました。
従業員側とはまず200万円分の未払い残業代を支払い、残りは分割することで合意を取り無事に危機を乗り切ることができました。

他ファクタリング会社からの乗り換え例

合意をするビジネスパーソン

D社は半年前にファクタリングを利用しましたが、結局支払い時にキャッシュフローが追いつかず毎月ファクタリングを繰り返す始末でした。
毎月ファクタリング手数料が発生するので、このままでは会社の体力が目減りしていく一方…。

そんな中たどり着いたのが、将来債権ファクタリングでした。
毎月150~200万円をファクタリングしていましたが、3か月分の将来債権で分割することにより支払い負担を軽減し、無事にキャッシュフローを正常化することができました。

需要拡大の可能性あり

「即効性」を武器に市場拡大を続けるファクタリングですが、債権買取の性質上、翌月キャッシュフローが再度ピンチに陥るという事例が後を絶ちませんでした。
また、ファクタリングによってその場をやり過ごしたとしても、翌月にまたキャッシュフローが圧迫し、翌月・翌々月…と永続的に利用せざるを得ない恐れがあります。

「継続的かつ安定した売掛債権を持っていること」が前提とはなりますが、将来債権を利用したファクタリングであれば、より無理なく財務改善を図ることが可能です。

ここ数年で多くのファクタリング会社が新規開業し、競争が激化したこともあり、各社とも手数料・入金スピード・柔軟審査の三本柱で優位性をアピールしてきました。
しかし、それでも特色を出すことが難しくなっており、新たに将来債権ファクタリングを扱う会社が増えてくるのではないかと予想しています。

元ファクタリング会社役員イメージ

市場が活発化することは、好条件かつ低コストで資金調達できる環境が整うことを意味し、我々利用者としては願ってもないことではないでしょうか。