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ファクタリングと他の資金調達法を比較

債権譲渡登記を解説しているマンガ01
債権譲渡登記を解説しているマンガ02
債権譲渡登記を解説しているマンガ03
債権譲渡登記を解説しているマンガ04

ファクタリングの概要説明時に「登記」という単語が出てくることがありますが、これは一体どのような手続きなのでしょうか。

このページでは、登記が持つ法的効力や登記をすることで発生するデメリット・登記の必要性について解説します。

権利を第三者に知らしめるための制度

登記には、大きく分けて不動産登記・法人登記・動産又は債権譲渡登記があります。
簡単に言うと、不動産登記は不動産や財産に対する権利や義務を保護するために、法人登記は会社の重要な項目(商号や本店所在地など)を対外的に知らしめることで信用維持を図るために用いられています。

不動産登記 土地/建物がどのような区画・形状をしているかという「物理的現況」とその不動産の所有権・抵当権・移転履歴を公示するためのもの
法人登記 株式会社や合同会社、社団法人などの商号や本店所在地、役員、資本金等の重要な項目を公示するためのもの
債権譲渡登記 法人間の債権譲渡を公示するための登記で、対抗要件を具備するためや債権証券化などに用いられる
動産譲渡登記 会社が所有する在庫・設備・車両・機材等(動産)の譲渡を公示するためのもので、主に債権担保融資(ABL)の際に活用される

その他、船舶の権利を公示する「船舶登記」や、婚姻前に夫婦の財産を明確化する「夫婦財産契約登記」、事理弁識能力が欠けている人を保護するための「成年後見人の登記」など、様々な登記が存在しています。

ファクタリングにおける登記の役割

ファクタリング契約で登場する登記は「債権譲渡登記」を指しています。
何故ファクタリング会社は債権が譲渡されたことを登記しておく必要があるのでしょうか。
債権譲渡登記を実施する理由として、以下が挙げられます。

二重譲渡の防止
登記で二重譲渡を防止する

契約通りに義務を利用してくれれば何の問題もありませんが、稀に債権を2~3社に譲渡し不当に金銭をせしめる違法業者が存在します。
二重に債権を譲渡するため、同取引の事を法律用語で「二重譲渡」といいます。

通常の債権譲渡の場合、債務者に対して通知(又は承諾)が行われるため、権利の移転に関して混乱をもたらす心配はありません。

しかし、2社間方式のファクタリングの場合、取引はファクタリング会社と利用者のみで進められるため、第三者に対して正当な権利者であることを証明することができません。

そこで、二重譲渡を防ぐために債権譲渡登記を利用します。
債権譲渡登記は、第三者に対しては権利者であることを主張できませんが、当事者間(ファクタリング会社と利用者)では権利者であることを主張できますので、万が一債務不履行があった場合は責任を問うことが可能です。

また、契約前に登記を調べておけば既に譲渡されているかどうかを知ることができますので、予防的な効力も期待できます。

訴訟手続がスムーズ

前項でも触れましたが、ファクタリング利用者が引き渡すべき売掛金を使い込んでしまった場合、ファクタリング会社は責任を問うことができます。
例えば、刑事責任であれば詐欺や横領、民事責任であれば損害賠償請求などです。
いずれを選択するにせよ債権が譲渡された事実は証明せねばなりませんが、債権譲渡登記を実施しておけば強力な証明力となります。

また、登記を行っていれば履歴事項証明書(所謂登記簿謄本)を発行することができるため、金額や時期についての証明が容易です。
債権執行手続を実施する場合など、各種の法的手続をよりスムーズに進めることができます。
参考:債権執行手続の流れ

債権譲渡登記の申請の流れ

債権譲渡登記は東京法務局中野出張所(東京都中野区)に申請します。
なお、債権譲渡登記は同法務局のみしか取り扱っておりませんので、本店所在地がいずれであったとしても申請は同法務局に対して行います。

申請は郵送でも可能ですが、到達までには数日を要するため、急ぎの場合は直接窓口で申請するのが慣例です。

元アドバイザーイメージ画像

余談ではありますが、ファクタリング会社が東京に集中しているのも、登記手続をスムーズに実施するためであると言われています。

債権譲渡登記の流れ

申請書に記名押印を施し、必要書類を添付した上で法務局へ提出します。
債権譲渡登記では登記日付、登記原因、存続期間、譲渡人情報(法人名/住所等)、譲受人情報(法人名/住所等)、譲渡債権額などが登記されます。

登記のデメリット

ファクタリング会社にとってはメリットが大きい債権譲渡登記ですが、ファクタリング利用者から見てデメリットはないのでしょうか。

まず、債権譲渡登記をする場合は「登記申請→買取金額の振込」の順番となるのが通常ですので、即日実行が困難となります。
また、登記は誰でも閲覧できる状態となりますので、取引先や金融機関等に見られてしまう恐れも否定できません。

もちろん、登記を確認しなければ杞憂に終わりますが、新規に取引をスタートする・銀行融資の審査を受けている場合などはチェックされる可能性がありますのでご注意ください。

ファクタリング会社の対応

債権譲渡登記はファクタリング会社から見ると保険の役割を果たしてします。
しかしながら、債権譲渡は必ずしも登記をしなければならないという訳ではありませんので、ファクタリング会社がリスクを負う形であれば登記無しで進めることも可能です。

そのため、ファクタリング会社の中には「信頼性が担保できている」「過去に利用したことがある」「少額債権である」「スピード面を重視」といった理由から登記手続を省略してくれる場合があります。

登記が省略できれば、スピード面はもちろん、コスト面でも大きなメリットがありますので、登記無しで進めてくれるファクタリング会社を探してみると良いでしょう。

元ファクタリング会社役員イメージ

「登記→決済」か「決済→登記」のいずれかによって、振込のタイミングが数日変わってしまうため、登記のタイミングも重要です。
見積もり時には手数料・入金スケジュールに加え、登記の有無・登記を行わない場合も手数料が変わらないか等を明確にしておくことを推奨します。