調査済会社一覧
フッターメニューへスクロールするボタン

登記とは何か?

ファクタリングの仕組み説明やファクタリング会社との会話の中で「登記」という単語が出てくることがあります。
当サイトでもたびたび使うキーワードですが、一体どのような効力がある行為なのでしょうか?
このページでは、登記の意味・登記を打たれるデメリット・登記に拘るファクタリング会社側の思惑を解説します。

権利を主張するための法制度

登記は法人や個人、不動産や財産に対する権利や義務を保護するための行政制度で、法務局へ登記申請し、受理されることで効力を発します。
「登記」と一口に言っても次のように様々な種類があり、目的に応じて細分化されています。中でも「不動産登記」は住宅購入等で聞き覚えのある方も少なくないのではないでしょうか。

代表的な登記の種類
不動産登記 土地/建物がどのような区画・形状をしているかという「物理的現況」とその不動産の所有権・抵当権・移転履歴を公示するためのもの。
商業登記 一般的に"会社の登記簿"と呼ばれるもので、営利企業の登記はこの商業登記に該当。
法人登記 一般社団法人・学校法人・宗教法人など非営利法人が該当。
債権譲渡登記 法人間の債権譲渡を公示するための登記で、本来は債権証券化などに用いられる。
ファクタリングで登場する登記はこの債権譲渡登記を指す。
動産譲渡登記 会社が所有する在庫・設備・車両・機材等(動産)の譲渡を公示するためのもので、債権担保融資(ABL)の際に活用されることが多い。

その他、船舶の権利を公示する"船舶登記"や婚姻前に夫婦の財産を明確化する"夫婦財産契約登記"など全14種類の登記が存在します。

ファクタリングにおける「登記」の役割

ファクタリング契約で登場する登記は"債権譲渡登記"を指しており、ファクタリング利用者の有する売掛債権をファクタリング会社へ譲渡する旨を公示します。
利用者側からすると何のために?と疑問に思うかもしれませんが、ファクタリング会社側には2つの大きな目的があります。

①二重譲渡防止

一つは二重譲渡の防止です。
業者側の詐欺被害リスクで詳しく説明していますが、利用者が1つの請求書(売掛債権)を複数のファクタリング会社へ売り渡し、二重三重に買取金を受け取る行為を指します。
二重譲渡されてしまうと、回収不能に陥る可能性が高くファクタリング会社が最も懸念する不正です。

そこでファクタリング契約時に債権譲渡登記を打つことで、該当の債権を自社に譲渡したことを公示し、二重譲渡を防ぐのです。
ファクタリング会社は審査時に登記簿を確認するため、すでに債権譲渡が登記されている売掛金を他社が買い取ることはありません。

また、万が一他社が登記確認を怠り二重譲渡が成立したとしても、登記により権利を公示している方への譲渡が優先されるため債権回収時も有利に働きます。
(ダブって登記されている場合は登記日時の古い方が優先される)

登記による二重譲渡防止の解説図
②焦げ付き時の対抗要件

二つ目は、対抗要件です。
またも聞き慣れない言葉とは思いますが、権利を主張するための法的資料と考えてください。

利用者が本来ファクタリング会社へ引き渡すべき売上金を使い込んでしまった場合「債務不履行に伴う損害賠償請求」等の名目で裁判所に訴え、債権執行手続(差し押さえ)を行うことになりますが、登記を行っていれば地方裁判所(もしくは簡易裁判所)へ申請する際に、登記事項証明書により債権譲渡の事実・当該債権の権利者を明確に伝えることができます。

訴えが認められ確定判決が降りれば、裁判所経由で利用者の銀行口座を差し押さえ、翌月以降の売掛金で回収できる可能性があります。

債権譲渡登記を活用した訴訟フロー

登記は"ファクタリング会社側の保険"であり、焦げ付きリスクを軽減する施策なのです。
そのため登記無しでのファクタリング契約は手数料が割高になったり、買取金額が制限されるなど制約が発生することも少なくありません。

登記申請の流れ

「債権譲渡登記所」に指定された東京法務局(東京都中野区)で行います。
実は債権譲渡登記は全国でもこの東京法務局のみが取扱を行っており、窓口申請の他郵送でも受付を行っています。

ただし、郵送の場合は数日〜1週間程度のタイムラグが生じるためファクタリングのようにスピードを重視する取引には不向きで、多くのファクタリング会社が東京法務局へ足を運び登記業務を行っているのが実態です。
ファクタリング会社の9割以上が東京近郊に集中している理由としても"中野へのアクセス"が念頭にあるのではないでしょう。

具体的な申請内容としては以下の項目となり、申請書(または委任状)にファクタリング会社(債権者)・利用者(債務者)双方の実印捺印を行い、印鑑証明書を添えて提出します。
ファクタリング契約時に実印捺印と印鑑証明を求められるのはこの手続きのためでもあります。

なお、登記無しで取引を行う場合も委任状への押印と印鑑証明書提出を求められるケースがあります。
これも買取金入金後に利用者と音信不通になった場合などを考慮し、いつでも登記を打てる準備をしておきたいというファクタリング会社側の保険と言えます。

債権譲渡登記の主な内容

登記日付、登記原因、存続期間、譲渡人情報(法人名/住所等)、譲受人情報(法人名/住所等)、譲渡債権額

ファクタリングにおける債権譲渡登記の流れ

登記のデメリット

最後に登記を打つことに対するデメリットを考察します。
ファクタリング会社側からすれば、二重譲渡防止や裁判時の裏付資料になるため登記のデメリットは一切ありません。

一方、利用者側は"ファクタリング会社へ債権譲渡を行った旨"が公示され誰でも閲覧できる状態となってしまうため、取引先の心象・銀行等の金融機関審査に大きな影響を与えます。

取引先の心象
登記簿の債権項目を見て不審に思う取引先担当者

取引先が登記確認をすれば…
という前提ではありますが、登記簿に債権譲渡の事実が記載されてれば不審に思うと伴に非常に厳しい経営状況であることは一目瞭然です。
契約書で"債権譲渡の禁止"を謳っているケースもあり、最悪の場合契約違反と認識され取引を解消されてしまう危険性もあります。
新規の取引では登記簿をチェックされる可能性が高く、債権譲渡登記が足枷となることも珍しくありません。

金融審査への影響
審査時に登記確認をする銀行

銀行・信金・商工ローン等の融資審査では100%登記確認が行われます。
債権譲渡を行っているから必ずNGというわけではありませんが、マイナス要素になることは断言できます。
借入やリース等の契約を控えているようでしたら安易に登記を打つのは避けたいところです。

以上の理由から、可能であれば登記を打たないファクタリング取引が望ましいところです。
昨今は"登記不要"を宣伝文句にしたファクタリング会社もありますが、登記を打たない代わりに高額な手数料を要求する会社も少なくありません。
ファクタリング見積もり時には手数料・入金スケジュールに加え、登記の有無と登記を行わない場合も手数料が変わらないか?を明確にしておくことを推奨します。